板金加工用材料
Material
試作品の製作・製品開発では、多種の材料が必要になります。少量であっても、目的・仕様に沿った試作品を作るためには多種在庫の準備が欠かせません。素材の種類だけではなく、豊富な厚みのバリエーションも必須。お客様からご依頼をいただいた段階で、すでにこのような多種多様な在庫を確保していることは、納期の短縮にもつながります。
イコマ工業株式会社では、試作板金・精密板金の専門業者として、種類豊富な材質の在庫を常備。必要に応じてお取り寄せすることも可能です。材質選びのことからご相談をうけたまわっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
材料一覧
板金材料では、鉄鋼・非鉄・非金属材料に大別され一般に広く用いられており、板金加工用材料としては、次のようなものがあります。
SPCC・SPHC鋼板
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SPCC
冷間圧延鋼板。みがき材と呼ばれることもある表面処理鋼板で、鉄板に類する材料として板金加工によく用いられます。このままでは錆びが発生するので後処理をおこなうことが多いです。
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SPHC
熱間圧延鋼板。黒皮やホットと呼ばれる材料です。弊社では板厚が安定している黒皮の酸化スケールを除去した酸洗材を使用しております。
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自動車用鋼板
SAPH440、SPFC440、SP129、SP791等での実績がございます。その他も一度お問合わせ下さい。
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SK-5(SK85)
炭素工具鋼鋼材と呼ばれる鋼種で工具鋼のなかでも使用頻度の高い鋼材です。C量が 0.80~0.90 %で焼入れ・焼き戻しを行うことで硬度を出すことができる材料です。
※弊社では簡易積層型で使用するため常時0.5~5.0mmまで在庫しております。 -
リボン鋼
焼入れリボン鋼とは、みがき特殊帯鋼を素材として焼入れ焼戻しを施して製造したばね用炭素鋼帯です。既に焼入れされており、薄板バネとしての強度は備えているため、成形・加工後の製品に対する熱処理は不要です。ただ焼入れ材のため成形性には乏しく、曲げ加工の不要な平板・抜き加工のみの製品、あるいは軽度の曲げ加工で成形可能な高強度の薄板ばねなどに適しています。
※弊社では簡易積層型で使用するため常時0.1~2.5mmまで在庫しております。
SECC・SGCCなどの表面処理鋼板
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SECC
電気亜鉛めっき鋼板。表面にめっきを施しているため錆や腐食に強いだけではなく様々な付加価値が付きます。工業製品・産業用途のほか、日用品にも使われております。弊社では神戸製鋼所製クロメートフリー電気亜鉛めっき鋼板GX-K2を標準在庫としております。
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SGCC
溶融亜鉛めっき鋼板。めっき層は薄いため、かなりの加工に耐えますが、強いしごき加工等を受けると損傷します。耐食・耐久性が優れています。試作では小売買いの為、メーカー指定やめっき厚の指定はほとんど出来ません。
ステンレス鋼板
機械部品から日用品まで、広く活用されている金属素材です。主成分として鉄が50%以上でクロム、またはクロムとニッケルを含む、さびにくい合金鋼である。名称は、省略してステンレスやサスという名称でもよく呼ばれます。
ステンレスの表面
ステンレスの表面仕上げ(表面の見た目)として代表的なものとして以下の種類があります。
※弊社では特に図面指示がない場合は2B仕上げでの加工になります
No.1 | |
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銀白色で光沢が無い | 熱間圧延後、熱処理、酸洗または、これに順ずる処置を施したもの |
2B | |
やや光沢がある仕上げ | 2D仕上げ材に適当な光沢をあたえる程度の軽い冷間圧延を施したもの |
BA | |
鏡面に近い光沢をもった仕上げ | 冷間圧延後、光輝熱処理を行い、さらに光沢をあげるため、軽い冷間圧延を施したもの |
#400 | |
BAに近い光沢 | 2B仕上げ材を400番の研磨ベルトで研磨したもの |
HL(ヘアライン) | |
長く連続した研磨目をもった仕上げ | 適当な粒度の研磨ベルトで髪の毛のように長く連続した研磨目をつけたもの |
No.8 | |
最も反射率の高い鏡面仕上げ(研磨目なし) | 順々に細かい粒度の研磨材で研磨した後、鏡面用パフにより研磨したもの |
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SUS304
オーステナイト系の代表的な鋼種で、耐食性、靭性、延性、加工性、溶接性に優れ、幅広い用途で使用されています。素材は非磁性体ですが加工を行うとその部分が磁性を帯びるため注意が必要です。
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SUS316
オーステナイト系の鋼種で、18%のクロム(Cr)と12%のニッケル(Ni)を含み、それにモリブデン(Mo)を添加して耐食性、耐孔食性をSUS304よりさらに向上させたステンレス鋼です。海水をはじめ各種媒質に優れた耐食性があります。
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SUS430
フェライト系ステンレスの代表的な鋼種で、耐食性、耐熱性および加工性に優れ、幅広い用途で使用されています。磁性体です。
ばね用ステンレス鋼帯
冷間圧延によって目的の硬度まで強度を高めた材料です。 強度の度合いにより1/2H~Hといった調質記号で表されます。鋼種名の後に- CSPを付けて表わされます。端子バネ接点や弱電部品等様々な部品に使用されています。
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SUS304-CSP
耐食性が良く、ばね用ステンレス鋼帯の代表的な鋼種として最も広く使われている材料です。
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SUS301-CSP
SUS304からクロムとニッケルを低減させることにより、更に加工による硬化が起きるようにした材料です。高い硬度を持つため、ゼンマイやドームスイッチ等の耐久性を要求される用途に最適です。
アルミニウム及びアルミニウム合金板
純アルミニウム板に加え、強度・加工・成形性・耐食性・溶接性などの向上を目的とした各種アルミ合金板など、非常に種類が豊富な素材です。
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A1050
A1050はアルミ純度99.5%以上で、いわゆる純アルミニウムといわれる素材です。A5052についで板金ではよく使用される材料になります。
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A1100
A1100もアルミ純度99.5%以上で純アルミニウムといわれる素材です。アルマイト後に光沢を良好にするため、A1050よりもCuが微量添加されています。
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A5052
A5052はアルミ合金の中では中間程度の強度を示す材料です。耐食性が良く加工や工作に向いた材料です。マグネシウムを主要添加物質としたAl-Mg系の合金です。板金加工でも非常によく使われる材料です。
銅及び銅合金板
銅は古くから人々の暮らしとのかかわりが深く、現在でも重要な金属として扱われております。銅合金も種類が多く、様々な部品に使われております。
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C1020(無酸素銅)
純度が99.96%以上の純銅でタフピッチ銅とは違い、高温加熱しても水素脆化を起こしません。合金と違って添加元素がないため、銅がもつ導電性、熱伝導性、加工性のどれも高いレベルにありますが、反面、強度には劣ります。電子・電機機器、ブスバー、熱交換器や化学工業用など幅広く使われます。
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C1100(タフピッチ銅)
展延性や絞り加工性、耐食性、耐侯性に優れた純銅で、Cu純度は99.90%以上です。ただ600℃以上に加熱すると、酸素と水素が反応して銅内部で水蒸気となり、亀裂を生じさせる水素脆化を起こすため、還元雰囲気で高温加熱するような使い方には向いていません。
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C1220(りん脱酸銅)
C1220はりん脱酸銅と呼ばれる純銅の一種です。C1020と同じく還元性雰囲気で高温加熱しても水素脆化を起こしません。加工性がよく、とくに絞り加工性、引き伸ばすことができる展延性、溶接性、耐食性、耐候性、熱伝導性に優れた銅です。ガスケットや風呂釜、湯沸し器などにも使われます。
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C1720(ベリリウム銅)
ベリリウム銅は高性能ばね用として使用され、耐食性や展延性に優れた材料です。ベリリウム銅は、銅合金の中で最高の強度を持つ材料で、析出硬化型の材料でもあります。板金加工では接点端子に使用されています。
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C2600 C2680(七三黄銅)
冷間加工性、転造性に優れた黄銅で、複雑な形状を持つ加工品にも使われます。黄銅はCuとZnの合金で、亜鉛の比率によって性質が変わります。のうち、C2600は銅の比率が68.5から71.5、C2680は64.0から68.0の比率となっています。C2680のみ一部板厚のみ弊社で調達可能です。またt0.64が在庫でありコネクタ関係の案件で重宝されています。
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C2801(真鍮)
C2801は冷間加工性には劣りますが、熱間加工性に優れた黄銅です。銅と亜鉛の合金である普通黄銅の一つです。強度に優れており、展延性、メッキ性も良好です。
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C5191(リン青銅)
C5191は優れた強度とばね特性から電気機器用材料として用いられ、また耐応力腐食割れに優れています。より高性能なバネ性が必要な時はバネ用りん青銅を用いたほうがよいとの記述がJIS規格にもあります。
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C5210(バネ用りん青銅)
C5210とは、耐疲労性や耐食性、展延性などバネとして用いる特性に優れた青銅で、低温焼きなまし処理がなされているため、高性能のばね材に適した材料です。弊社では1/2HとH調質が在庫であります。EH以上の硬度は残念ながら入手出来ません。
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C7521(洋白)
C7521は元の洋白2種(NSx2)で62~66%の構成成分を銅とする合金です。特に絞り性がよく、展延性、耐疲労性、耐食性に優れています。洋白は光沢が美しいことでも知られます。
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C7701(ばね用洋白)
C7701は洋白の中では銅の比率が最も低い54~58%となっています。低温焼きなまし処理により、高性能のばね材に向いています。電子・計測機器用のスイッチ、コネクタ、リレー等にも使われます。
その他の金属
チタン、マグネシウム、アロイ、ニッケル合金、純ニッケル等実績ありますので詳細はお問い合わせ下さい。
合成樹脂板
金属ではありませんが一部加工できるものがありますので掲載します。
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アクリル樹脂
アクリル樹脂は高い耐久性や耐候性、ガラス以上に光を通す透過性があり、こうした優れた性能を活かし、多くの産業で使用されている。弊社では板厚2.0mm迄のアクリル板をレーザー加工にて切り出すことが出来ます。
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ポリカーボネイト(PC)
ポリカーボネイトはアクリルの約40倍、硬質塩化ビニルの約20倍と透明プラスチック材料中最高クラスの耐衝撃強度をもち、熱に強く、衛生的で光や雨や温度変化に強いという優れた特徴を持っています。弊社では板厚0.8mm迄のレーザー切断、曲げ加工に対応してます。
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両面テープ
簡易的ではありますがレーザー加工にて両面テープの切り出しも可能です。社内在庫はNitto No.5000NSをA4サイズで常備しています。
上記材料以外にも取り寄せが可能な場合がありますのでお問合わせください。ご不明点は問い合わせフォームからお願い致します。